⚫︎ 消化器
大腸 large intestine /colon and rectum
・回盲部〜肛門に至る約1.5 mの管腔臓器.糞便を形成する.A9,10
・口側から順に,盲腸,結腸,直腸に分けられる.
・絨毛構造はなく陰窩のみから構成され,水の吸収と粘液の分泌に適する.A10
1.盲腸
・回盲口(回腸と盲腸の境界)にヒダ状の回盲弁(Bauhin弁)を形成し,内容物の小腸への逆流を防ぐ.A9
・虫垂が開口する.A9
2.結腸
・上行結腸,横行結腸,下行結腸,S状結腸に分けられる.
・横行結腸,S状結腸は腸間膜を有し,可動性をもつ(参照A-9).
・結腸ヒモ(縦走筋の肥厚で構成される3列の紐状構造)と結腸膨起(ハウストラ)を有する(小腸との肉眼的な相違)(参照A-8).A9
■ 大腸の栄養血管 A11 14,15,16
・上腸間膜動脈(十二指腸下部〜横行結腸),下腸間膜動脈(下行結腸〜直腸上部),内腸骨動脈(直腸中部〜下部)に支配される.
・静脈は上腸間膜静脈(空腸〜横行結腸)と下腸間膜静脈(下行結腸〜直腸上部)から門脈へ流入し,中・下直腸静脈は内腸骨静脈を経由して下大静脈へ流入する.
・上・中・下直腸静脈は直腸静脈叢によって互いに交通する.
医療情報科学研究所 編:病気がみえる vol.1 消化器.第6版,メディックメディア,2020,p.144より改変
3.直腸
・岬角から肛門直腸輪(恥骨直腸筋付着部上縁)までを指し,RS,Ra,Rbの3つに区分される(外科的直腸).
■ 直腸の区分
・RS(直腸S状部):岬角〜S2下縁
・Ra(上部直腸):S2下縁〜腹膜反転部
・Rb(下部直腸):腹膜反転部〜恥骨直腸筋付着部上縁
※解剖学的直腸にはRSは含めない.
※Rbは漿膜を欠き,外膜に覆われている.
・直腸内面には3つの弁が存在する〔Houston弁(直腸横ヒダ)〕.注腸造影や内視鏡施行時に解剖学的位置の目安となる〔例:中Houston弁➡腹膜反転部(高さがほぼ一致)〕.A10
※直腸には結腸ヒモや結腸膨起はない.